自動車整備士に
なるためのルート
自動車整備士になるにはまず、国家資格である整備士資格を取得することが大前提。専門学校に通うか、働きながら資格取得を目指す2つのルートがあります。それぞれの場合の道筋を確認しましょう。
就職率が高い専門学校がおすすめ
専門学校はコースにもよりますが、2年あるいは4年間勉強に集中して資格取得・就職を目指すことができます。実務経験が免除されるので資格取得が早く、就職率も99%近くと、ほぼ確実に自動車業界に就職できるでしょう。また、卒業後のキャリア形成にも役立つ人脈を多く形成できるのもメリットと言えます。
整備業界に就職するメリットとしては、整備士として早くキャリアをスタートできる、専門学校へ入学する場合の費用(2年間で約200万)を抑えられることなどが挙げられます。
しかし、自動車整備士業界は人手不足が顕著なため、基本的には即戦力を必要としている工場やディーラーが多いです。無資格未経験でも応募可能な求人は少なく、且つ日々働きながら専門的な勉強もコツコツ続ける必要があるため、体力・精神力に自信がある方には向いているかもしれません。
自動車整備士を目指せる全国の専門学校を エリアごとにチェック
【資格別】
自動車整備士の仕事
3級・2級・1級とレベル分けされている自動車整備士の仕事には、どのような違いがあるのでしょう。資格ごとに可能な業務や特徴をまとめています。
【整備士の登竜門】
3級自動車整備士
エンジンオイルやギアオイルの交換・タイヤ交換・簡易な点検整備など、国が定める保安基準による検査を必要としない仕事がメインとなります。
初歩的な資格で、担当できる業務が限られているため、1級または2級自動車整備士の補佐としての役割を担うことになります。仕事の幅を広げるには2級自動車整備士の資格も取ることが必要となるでしょう。
- 3級自動車整備士の種類(※)
- 3級自動車ガソリン・エンジン整備士
- 3級自動車シャシ整備士
- 3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
- 3級二輪自動車整備士
【取得すれば一人前】
2級自動車整備士
自動車における、一般的な整備業務全般を任されます。 具体的には、部品の劣化や故障がないかを点検し、修理・整備をする作業、安全走行に大きな影響を与えるエンジンやサスペンション、足回りの装置の分解・修理・点検などです。
分解・整備・修理を含め、非常に高度な技術を要するものでなければ、ほとんどの作業を行うことが可能となっています。自動車整備士としてキャリアを積むなら、2級までは取得しておくのが好ましいでしょう。
- 2級自動車整備士の種類(※)
- 2級自動車ガソリン整備士
- 2級自動車ジーゼル整備士
- 2級自動車シャシ整備士
- 2級二輪自動車整備士
【整備の"匠"の領域】
1級自動車整備士
ガソリン車やディーゼル車はもちろん、ハイブリット、電気、水素などのエンジンの種別、シャシ限定といった整備箇所に関わらず、自動車に関するすべての整備を行うことができるスペシャリスト的立ち位置です。(自動車検査員としての業務は不可)他の整備士・工員への指導や整備視点からのアドバイザー的な対応も求められることがあります。
ただ、2級を保有していれば大方の整備業務を行えることから、1級の資格保有者は少なく、全体の数%に留まっています。
- 1級自動車整備士の種類(※)
- 1級小型自動車整備士
- 1級大型自動車整備士
- 1級二輪自動車整備士
(※)2027年には新たな資格制度が施行され、上記4種の3級整備士資格は「3級自動車整備士(総合)」と「3級自動車整備士(二輪)」の2つに変更、 上記4種の2級整備士資格は「2級自動車整備士(総合)」と「2級自動車整備士(二輪)」の2つに変更、 上記3種の1級整備士資格は「1級自動車整備士(総合)」と「1級自動車整備士(二輪)」の2つに変更されます。
自動車整備士の
キャリアパス
一口に自動車整備士と言っても、その後に歩めるキャリアは実に多種多様。時間をかけて取得した整備士資格を活かすためにも、どんなキャリアパスがあるのかを紹介します。
自動車検査員
自動車検査員とは、民間の車検場(指定整備工場)で車検検査を行える人のことです。
車検の合否を判断する役割は本来、国が担うべきものですが、利便性や社会的ニーズを考慮し、民間の整備工場が代行して行っています。そのため、公務員でなくても自動車検査員の資格を取得していれば車検の合否を下すことが可能。
ただ、自動車検査員は刑法やその他の罰則の適応などに関しては、公務員に準じる「みなし公務員」に該当するため、行う業務や責任の重さは公務員と変わりません。
自動車検査員になるには、国家資格取得が必要で、自動車整備士としてのスキルはもちろん、主任としての実務経験など、長年のキャリアが求められます。自動車検査員は指定整備工場では必ず配置しなければいけない人員のため、重要性は高く、給料も整備士より高い傾向があります。目指す価値は大きい仕事と言えるでしょう。
特殊整備士
専門技術に特化した特殊整備士を目指すのもキャリア選択の一つです。
自動車電気装置整備士は、自動車の電気装置部分(電子制御装置、バッテリー、冷暖房装置など)の整備を行うのが仕事です。近年、ハイブリッド車や電気自動車などの電子制御自動車の増加に伴い、求められる割合が増えている資格とも言えます。
車体整備士とは、自動車のフレームやボディ部分の点検・修理などを行う整備士です。自動車の車体に関する専門的な知識や技術を持ち合わせており、鈑金塗装の仕事を行う際には有利と言えます。
どちらも国家資格取得が必要のため、保有していれば、職場や顧客から知識や技術面での信頼を得ることが可能となるでしょう。
工場長や副工場長
いわゆる「管理職」となり、工場運営やマネジメントを行う側に回るのもキャリアパスの一つです。 自動車整備士としての専門知識を持ち合わせながら、メンテナンス計画の作成や経費管理、人材育成なども行う必要があるため、長年の勤務経験は欠かせません。
工場長になるには、勤務する自社工場でポジションを獲得することの他に、独立して自分で整備工場を開業する道もあります。
バスやタクシーの整備士、
公務員としての整備士
自動車整備士の資格は一般乗用車以外にも、バスやタクシーなどにも活かすことができます。
バス会社やタクシー会社の整備士の場合、基本的に整備するのは自社の車両に限られるため、顧客と関わる機会はほぼありません。突発的な仕事が少なく毎日安定したリズムで働けるのがメリットと言えます。
また、警察署や市役所などで公務員の自動車整備士として働く方法もあります。 公務員試験に合格する必要がありますが、整備・点検の対象が警察車両や市バスに変わるだけで、業務内容自体に大きな変化はないとみていいでしょう。
【番外編】自動車整備士の資格を
別業界で活かす
別業界でも自動車整備士資格が活きる場面は多々あります。その一つが損害保険会社のアジャスター。自動車事故が起きた際、自動車の損傷状態を調査し、損害額の認定を行うのが主な仕事です。
アジャスターになるには、一般社団法人日本損害保険協会が管理する資格取得が必要となります。自動車工学・自動車の構造に関する知識があると有利とされており、自動車整備士とは相性がいい仕事と言えます。大手損害保険会社であれば待遇や福利厚生が充実していることもメリットでしょう。
こんな人に向いている
整備士には実に様々なキャリアパスがあることが分かりました。すべてに共通するのは、スキルと知識がモノを言う仕事であること。整備作業は黙々と行うことが多いため、向いている人の条件としては、丁寧な作業ができる人や、手先が器用な人などが挙げられます。つまり、車や機械いじりが好きな人であれば、面白さは感じやすいはずです。
また自動車整備士は、車の持ち主であるお客様と接するサービス業としての側面もあります。プロフェッショナルとしての技術力だけでなく、どんな症状に困っているのか、どんなニーズを持つのかを聞き出すコミュニケーション力があれば大きな武器となるでしょう。
車を整備することは、自動車の安全性を高めるだけでなく、ドライバーの命を守ることにも直結します。その分プレッシャーも大きいですが、責任感の強い真面目な人にとって、自動車整備士は大きなやりがいを感じられる仕事であると言えます。
自動車整備士を目指す上では専門学校に通うのが一般的です。ここでは、全国各地の専門学校の特徴や学費を紹介しています。近くのエリアから探してみてください。
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